野球の投球動作以外にテニス・バレーボールのサーブ・スマッシュ等、腕を大きく振る動作を繰り返すスポーツで生じる肩の痛みです。関節包や肩関節に付着する腱や筋あるいは骨の損傷によるもので、損傷の部位によって、肩の前方、または後方、時には上腕が痛みます。

野球肩の種類

一言に野球肩と言っても、その原因や損傷は多岐に渡ります。ここでは主な頻度の高い野球肩をご紹介します。

1.インピンジメント症候群

野球肩の原因の中でも多いのがインピンジメント症候群(挟まれて起こる症状)です。肩を使うたびに、肩峰や靱帯に上腕骨頭が衝突することにより、腱板(肩の安定性のために必要な筋肉の腱の集まり)がはさまれ、肩峰下滑液包に炎症を起こし、肩が痛みます。

症状

肩を外側へ上げていく時にある角度(90度前後あたり)で痛みや引っかかりを感じ、それ以上肩を上げれなくなります。このような症状がインピンジメント症候群の特徴になります。

2. 腱板損傷

腱板とは肩の中にある棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋という4つの筋肉の腱の複合体を言います。スポーツでこの部位を負傷することは多く、腱板損傷とは肩にある上腕骨頭に付着している腱が骨頭から剥がれたり、破れたりする損傷のことを言います。

症状

痛みで腕が挙がらない。夜に痛みで目が覚める。腕を下ろす時に痛みが走る。痛くなったほうの肩を下にして寝られないなどの症状が現れます。

3. リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)

成長期の投球障害で投球時や投球後に肩の痛みを訴えます。子どもの骨の端の方には骨を形成する細胞が密集する成長線という軟骨(成長軟骨)があります。骨に比べて強度が弱く、過度の投球による負荷で損傷し、上腕骨の肩の部分の成長軟骨(骨端線)の離開(骨端線離開)が起こって痛みが表れるスポーツ障害です。放置しておくと痛むだけでなく成長障害にも繋がる可能性もあります。
投球動作以外にラケット競技、あるいは転倒した際に肩から落ちるなどの外傷がその原因として挙げられます。

症状

投球時に痛み、投球後に痛み、腕をねじると痛みが出ます。

4.ルーズショルダー(動揺肩、動揺性肩関節症)

一般的な人の範囲以上に肩関節が動いてしまう方に多いスポーツ障害です。肩関節の安定化に関わっている上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯や関節包が先天的に緩い状態にあります。こういう人が肩を使いすぎると、周囲の組織を損傷し症状が現われてきます。
バレーボールのスパイクやサーブ、テニスのサーブやスマッシュ、槍投げなどでも生じます。

症状

肩を使った時に痛みます。肩の不安定感・脱力感をともなうこともあります。また、投球時のフォロースルーの際に、肩が抜けるように感じることもあります

5.肩甲上神経損傷(けんこうじょうしんけいそんしょう)

棘下筋を支配している肩甲上神経があります。投球のフォロースルー(投げ終わり)時の動作に引っ張られたり、圧迫されたりして損傷をおこしたものです。
野球の投球の他、テニスのサーブやスマッシュ、バレーボールのスパイクなどでも起こります。

症状

肩の痛みが肩の後ろ外側に放散します。肩全体に疲労感があります。

評価

肩の構造は複雑です。上記で主に紹介した損傷のように肩の中でも、どこの損傷なのか評価を行います。必要性に応じて専門医への転医も考慮します。その評価で患者様の希望を考慮し、最適な治療法を提案させていただきます。

治療

医療機器を使用して損傷部の回復を促進します。また、痛めたことにより負荷がかかっている筋肉などのケアを施し、弱くなっている場所にはリハビリをします。

下記に当てはまる方はご相談ください

  • 痛みが出て支障があり、もっと運動や練習がしたいかた
  • 腕・肩を使用する動作に痛みが発症して十分に動けず悔しい方
  • パフォーマンスを上げたい(結果を出したい)